正当化できるのか?

今日、米国防総省より、ウサマ・ビンラディン氏がテロ事件を回想し、発言しているビデオが公開された。氏のテロ事件への関与を示唆する、重要な証拠と見なされているものらしい。

これを受け、あるテレビで(まともに見ていたわけじゃないので、誰のどの番組かは忘れた。)「これまで空爆に反対を唱えていた人も、改めて考え直すことができるのではないか」といったコメントが出されていた。

空爆開始以前、ある人が私に「あなたは決定的な証拠の提示がなければ武力行使反対というけれど、じゃあ証拠が開示されれば、武力行使に賛成なのか?」と言ったのを今でも覚えている。当時は私もまだパニック状態だったし(今でもか?)、しかも話していた相手がそんなに親しくもなく、武力行使への見解も180度違っていたので、お互い頭に血が上るにつれ、言葉尻の揚げ足をとるような議論になっていった。そんな中で出てきたのが上の言葉。私は「空爆なり、武力行使はどんな大義名分を掲げようとも反対、ましてや証拠も開示されていない状態で、どこに正当性を認めよというのか?」という意味で「決定的な証拠の提示もないのに、空爆するなんて、全く受け入れられない」と言ったのだけど、ひっくりかえして受けとられてしまった。

ま、それはいいのだけど、決定的な(と米国が言う、Anführungszeichen。)証拠が、世界中に開示された今、テレビで誰かが言っていたように空爆を正当化できるのか? 

私はやっぱりできないと思う。
というか、むしろ逆で、非正当性が顕わになってきたように思う。

アルカイーダやビンラディン氏が主犯だと断定できる情報をゲットしたり、今現在のビンラディン氏の隠れ家が分かったり、そのため氏を捕らえるのは目前と言われるほど巧みな情報工作(とでも言うのか?)をする手だてを持っているのなら、なぜアフガンに空爆をする前に、根気強くその手段をとらなかったのだろう?という疑問がふつふつとわいてくる。

アルカイーダなりビンラディン氏なりが主犯だと、空爆開始以前に既に断定できていたのなら(そもそも、だからアフガンに侵攻したんだよね?)、わざわざアフガン市民を傷つけるような手段をとる必要があったのか? 情報工作で、その主犯を捕らえれば済んだだけの話なのではないのか?

結局アメリカは、自己の強さと権力を、世界中に見せつけたかっただけなのじゃないのか?

最後の一文は言い過ぎだとは思うけど、結局私は、このビデオの公開で、ますますアメリカの空爆に対する不信感が募りました。なーんかおかしいよ。絶対。